さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~
抜き身の剣をぐるぐると回しながら、サジは角度を変えて何度も確認する。
きらりと光った剣先に、傍にいたユーリは思わず目を細めた。
「とりあえず、このまま計画の変更はなしで行く。
ジマールの弱みも握ったし、好都合だ」
剣を鞘に収めながら、サジは相変わらず抑揚のない声で答える。
「けど、彼女の話が本当なら、家族が捕まってるわけだろう?
そっちはどうするんだ?」
カチンと剣を鳴らすと、
サジの艶やかな唇が、今にも流麗な音楽を奏でそうにうっすらと開いた。
「気になるなら助けてやればいい。
いるだろう。正義の味方が」
「どこに?」
「私の目の前」
当然そこには、金髪の若者しかいない。