さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~

手早く足に布を巻きつけるサジの長い指を眺めていると、

レイラはふとあることに気づいた。


「あの、サジさんも、畑を持っていらっしゃるの?」


「畑?」


「その手・・・」


サジのしなやかな掌は、良く見るとたくさんのたこがあり、

ごつごつと荒れている。

父や姉と同じ様に。


「これは、剣だこだ」


レイラの手当てを終わると、サジは左の掌を右手で触りながら静かに答える。


「剣だこ?」


鍬を持つ家族の手は、いつも豆だらけだ。

豆がつぶれ、またより厚い皮ができる。

てっきりサジもそうなのだと思ったのだが。


「毎日剣の訓練に明け暮れているからな。この数日間は実践もあったが」


「実践って」



< 55 / 366 >

この作品をシェア

pagetop