さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~
手早く足に布を巻きつけるサジの長い指を眺めていると、
レイラはふとあることに気づいた。
「あの、サジさんも、畑を持っていらっしゃるの?」
「畑?」
「その手・・・」
サジのしなやかな掌は、良く見るとたくさんのたこがあり、
ごつごつと荒れている。
父や姉と同じ様に。
「これは、剣だこだ」
レイラの手当てを終わると、サジは左の掌を右手で触りながら静かに答える。
「剣だこ?」
鍬を持つ家族の手は、いつも豆だらけだ。
豆がつぶれ、またより厚い皮ができる。
てっきりサジもそうなのだと思ったのだが。
「毎日剣の訓練に明け暮れているからな。この数日間は実践もあったが」
「実践って」