さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~
はあぁ、と歯切れの悪い返事を残し、兵士たちは持ち場に戻る。
サジのため息が、レイラの髪を大きく揺らした。
「ええと、あの」
恥ずかしくて顔を隠しただけなのに、選んだ場所が悪かった。
まるで甘えて抱きついているような絵だ。
呆れられたのだろう、と思いながら、
うかがうように顔を離すと、サジの大きな瞳とぶつかる。
「怪我は悪化していないか?」
雰囲気的には、ぴりぴりしているような気がするのに。
「はい。
あの、大丈夫、です」
「ならいい。そのままじっとしていろ」
なんだか優しさを感じる。