さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~

硬質な声とは違い、サジは丁寧にレイラを抱きなおすと、

そのまま流れるように立ち上がった。


「あ、あの」


「暴れると落ちる。じっとしていろ」


馬車まで連れて行ってくれるつもりらしい。



・・見かけはなんとなく冷たそうで怖いけど、

本当はいい人なんだわ。



少しだけ気恥ずかしさを感じたものの、レイラは大人しくサジの腕の中で揺られた。


馬車に入ると、着替えの衣を手渡された。


「これに着替えて。着替え終わったら出立する」


はい、と返事をして腰をおろす。

その時破れた衣がふわりと流れて、太ももがちらりと姿を見せた。


「それは?」


サジの鋭い声が飛んできて、レイラは驚いた。

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