さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~

それ、と言って見つめる先には青黒いあざがある。


「刺青、か?」


まるで太陽をかたどったような紋様。

レイラの骨盤の真下、左側の太ももに、

親指と人差し指で円を作ったくらいの大きさのそれが、はっきりと見て取れる。


「これは、子どもの時からあるんです。

小さい頃に怪我をしてついたあざだって、父が言っていました」


「太陽のように見えるが」


「偶然です。でも、姉もそう言って慰めてくれました」


自分のももを触りながら、あざがあるなんて嫌だ、と泣いた過去を思い出す。

すまなそうな顔をする父の大きな膝に抱かれていると、

姉のカマラが、太陽みたいで格好いいと笑ってくれた。


ついでに父の膝も独占できてうらやましいわ、とカマラは片目を瞑った。



・・皆、元気でいるよね?




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