さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~
張り詰めた空気が和らぎ、王はふん、と鼻を鳴らす。
「今回だけ特別に許す。が、以後このような無礼は許さぬ。
レイラよ。ゆめソリャンへの感謝を忘れるなよ」
「は、はい」
ジウチの足音が遠ざかる間、レイラは深く首をたれた。
「ごめんね、レイラ。
父は歳をとるごとに次第に偏屈になってね。
でも僕には甘いんだ。困ったことがあれば、何でも僕に相談してね」
春の訪れを感じさせる柔らかいソリャンの微笑みに、
想定外にレイラの胸がとくんと高鳴った。
・・私、この人の妻になるのよね。どうしよう。