さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~
ジマールのところで聞いた話では、
妻とは名ばかりで、実質は人質として一生城で暮らすということだった。
それは、ジマールが王に反旗を翻したり、他国に寝返ったりしないための王の策略。
そのため、平時であれば、日がな一日遊んで暮らせばよい。
ジマールたちにしてみれば、
盗賊をやって貧乏暮らしをしていた娘が、一生分の贅沢を尽くせるのだから、
ある意味幸せなことだと思っているふしがあり、
レイラは、父の命も助かるいい取引だと説得されていた。
だから、レイラも自分はあくまでも人質として軟禁生活を送るということに重点を置き、
妻になるという意味について、深く考慮していなかったのだが。
「あの、ありがとうございます。ソリャン様」
どんな恐ろしい扱いを受けるかと危惧していたのに、
思いのほか優しい言葉をかけられ、嬉しかった。
「いいんだよ。
僕は君のようなかわいらしい子が来てくれるのを、ずっと待ってたんだ。
仲良くしようね、レイラ」