さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~

ソリャンはレイラの手の甲にそっと唇を落とす。

レイラの首から耳までが、瞬時に赤く染まった。


「本当に、いい子だね。レイラ。

君の事、もっとよく知りたいな」


意味深な台詞に、レイラはますます赤くなり黙りこんだ。

さきほどまでの緊張と違う意味で、鼓動が速度を上げる。


その様子に目を細め、ソリャンはくすりと笑みをこぼした。


「君たち、彼女をここまで無事連れてきてくれてありがとう」


レイラの後ろで跪いたままのサジたちに視線を移し、

ソリャンがねぎらいの言葉をかけると、


「先ほどは、命をお助けいただき、ありがとうございました」


レイラの背後から、隊長役の男が床に這いつくばるようにして礼を述べる。


それをにこりと受け止めると、ソリャンの眉間に一瞬しわが現れた。


「君の銀髪は、見事だね。

どこかで会ったことがあるかな」


兵士の中に銀髪は一人しかいない。







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