さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~
一拍の間をおき、ソリャンが、口元を手で押さえて笑い始めた。
なにか失態を犯したのかとレイラは血の気が引く思いだったが、
ソリャンはお構いなしに、体をくねらせて目に涙を浮かべる。
「あはは、あは。
ほんと、君ってば素直で最高だね!」
ソリャンは軽く覆いかぶさるようにレイラの体を抱き寄せると、
その肩越しにサジを見下ろした。
「サジと言ったね。
そのうち剣を抜いたところを見せてよ。
レイラに、君が強いってところをちゃんと証明しないとね」
「はい。ご期待に添えるかわかりませんが」
自信なさげに頭を下げるサジを見て、
ソリャンはクスクスと笑い声を立てた。
「ほんと、ジマールの領民たちは、
皆君たちのように正直者ばかりなんだろうね」
何気ないソリャンの一言に、彼の腕の中にいるレイラの胸がずきんと痛んだ。