HIGH-WEST
ウサギの張ったシールド内に着地するとニワトリは洞窟内の様子を説明した。

「予定を変更するで。イヌはここに残れ。ニワトリが全員こちら側に脱出させ次第トラ、イヌはカンガルー、イタチ、リス、ハムスターと共に巡礼者を護衛し聖地へ。俺、ジュゴン、ヒツジ、ウサギで怪我人の搬送にあたるぞ」

頷いて了解の意を示すと今度はヘビを抱えてニワトリは飛び立った。


洞窟でヘビとジュゴンが怪我人の治療に当たっている間にニワトリは巡礼者を全員向こう側のシールドの中へと脱出させた。その頃には怪我人の治療も終わっていたのでまた洞窟とシールドを往復して今度は怪我人を脱出させた。そして最後の一人と共にシールド内に着地するとニワトリは座り込んでしまった。

「ニワトリ、お疲れ。」

ウサギがニワトリに声をかけるとニワトリは

「疲れた〜〜」

と一言だけ言った。すぐ側ではヘビとイヌがテキパキと動いている。手筈を整え、巡礼者達を送り出すとヘビがニワトリの前に膝をついた。

「歩けるか?」

「何とか。」

ニワトリが答えるとヘビは頷いた。

「なら俺らもそろそろ出発しよか」

ヘビとヒツジがジャッカルとビーバーを、ジュゴンがコアラを背負っている。歩けるとは言ったニワトリだがウサギに肩を貸してもらってかろうじて歩いているといった状態だ。日はすでに傾き、そろりそろりと夕闇が迫ってくる。日が山の端に入ろうとする頃、ヘビ達は聖地のトランプの宿舎に着いた。医務室に怪我人を運び、ヘビ達は自分の部屋に帰った。何とか自分の部屋に入ったニワトリは着替えもせずに眠りに落ちた。

(ありゃ絶対に明日の夕方まで寝るな)

ウサギとジュゴンはそう確信して自分の部屋に戻った。


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