HIGH-WEST

(想像以上にきつい)

何とかジュゴンと共に洞窟にたどり着いたニワトリは息が切れていた。ついで洞窟内を見渡す。怪我をしているのはジャッカル、ビーバーそれにコアラ。全員足をやられていた。持ち味の機動力を削がれたようだ。しかも、

「ちょっと、ニワトリ」

ジュゴンがニワトリを呼んだ。

「ん、何?」

「コアラ達の血が止まらへん。多分死花草原の紅草<クレナイソウ>と同じ毒やわ。」

「なんで紅草の毒が?」

死花草原とは一度入ったら絶対に無事では出られない西エリアの難所だ。そこに生えている紅草が旅人の足に噛み付き血を止まらなくする毒を体内に入れる。倒れたりしたら終わりだ。紅草に喰われて死に致る。

「わからんけどこの毒は私の手に負えへん…」

「わかった。ヘビに頼もう」

ヘビはあらゆる種類の毒とその解毒に精通しているのだ。

「じゃあ私はそろそろ戻る。」

巡礼者達に向かいこれからここを脱出することを伝える。彼らの瞳が一瞬希望に輝き、また不安に曇る。

「一体ここからどうやって…?」

「もちろん空を飛びます。大丈夫、私達もそうしてここまで来ましたから。」

その満面の笑みと確信に満ちた言葉に巡礼者達の不安が少し薄らぐ。その様子を見てニワトリは巡礼者の一人と向かい合わせになり二人の体をロープで結ぶ。
「目は閉じといてくださいね。」

そしてそのまま飛び立つ。


< 7 / 18 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop