ハニードハニー
『今日昼飯作るの忘れてさ。雛なかなか起きないし昼休みにでも伝えようと思って』


 そうか、初めからお弁当は存在していなかったのか。


「なら早く購買に行かないといけないから……」

『財布も忘れただろ? リビングのテーブルに置いたままだったから忘れると思ってたし』

「………」


 そこまで分かってるならなんとかしてよ。


『お兄ちゃんは雛のことならなんでも知ってるからな』

「昨日兄さんが寝ている間に首を絞めたこととか?」

『通りで昨日は息苦しいと思った……』

「ウソ」

『……はぁ!? なら昨日のはいったい――』


 電話の向こうでぎゃんぎゃん騒ぎはじめた。

 ……うん、切ってしまおう。
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