特別保健委員会
「で、ね。ものは相談なんだけど。」
「は、はい。」
「この踊り場の下は、裏庭で草藪になってるのはしってる?」
「知ってます。」

ここまでくるとなんとなく言われることはわかっている。

「君が落としちゃったの、たぶん十二指腸なんだ。俺が一人で探してもいいんだけど、見つかりにくい場所の上に、十二指腸の小ささだからね。そうすると君は先生方に事情説明をしてひたすら頭を下げている間一人になっちゃうね。」
「う。」
「もしよければ、一緒に探してくれないかな?そうすれば、今から俺も一緒に先生方に説明にいけるんだけど。」

それは有り難い。けれども、探すと言うことは次の授業が。
というか辞書!!
けれども、会長はやはりエスパーのような勘の良さで私の心配ごとをもみ消してくれた。

「ああ、次の授業なら心配しないで。公欠届けがでるはずだから。この人体模型、…理事長の私物なんだよね。」
「ぎゃー!一緒に探させてくださいお願いします!!」
「助かったよ、ありがとう。」

理事長の私物を壊した報告を一人でするなんて恐ろしいことは何があっても回避したい。

そもそも、何で理事長は人体模型を持っているのか。
そして、何で理事長の私物の人体模型を会長が持っていたのか。
謎は深まるばかりだけれど、今はそんなことを気にしてはいられない。

いつの間にかあつまっていた生徒たち(そりゃこれだけ騒がしく物を散らかせば集まるか)に教室に戻るように指示を出しながら再び人体模型とはみ出した内臓を持つ会長。

「さて、行こうか。」

チャイムが鳴るとともに教室に戻り出す生徒たちを見送ると、階段を下りだした。
その後を、会長が持ちきれなかった内臓を抱えながら付いていく私がうつむき続けていたのは言うまでもない。

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