特別保健委員会
4:裏庭の難

「あの、会長?」
「ん?なに?」

ざかざかと生い茂る葉を掻き分けながら、少し離れた一点に向かい声をかける。
なぜか、その一点周辺の雑草を抜く作業を初めていた会長は、立ち上がり乱れぬ笑顔を向ける。


「そんなに俺のことが気になるのかな?」
「や、そうじゃなくて、」
「おや、それは傷つくなぁ。」
「あ、すみません…、そうでもなくて!」

なんて掴めない人なんだ、と悲鳴を(もちろん心の中で)上げながら、言葉を続ける。

「こんなひろーい裏庭で、その、じゅ、じゅ…」
「十二指腸?」
「じゅうにし、ちょう、なんか見つかりますか?」

そう。私が見事にホームランした…じゅ、十二指腸、が落ちた先、野球で言えば観客席、は予想外に広ーい広ーいお庭だった。
小人が住んでるんじゃないか、と思えそうな、そこら辺の高校にあるまじき広さの。


プール、5個は入るんじゃないかな。
そんな遠い目で庭を眺めていると、会長が柔らかい笑みを浮かべた。
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