特別保健委員会
す、と悲惨な穴を開けた窓を指さしてから、手招き。

「あそこの窓の高さと、君の投物速度の予測、…それから一般的な窓ガラスの硬度を考慮する。」
「はぁ。」
「後は、あの棟の階段は11段だから、その角度と位置関係を元に導きだすと、」

近づいた私に、スラスラと説明しながらしゃがみ込み、雑草を抜く作業を続行する先輩。
雑草を横に置くと、小さく微笑んで再び雑草に手を伸ばした、と思うと、何も抜かずに手を持ち上げる。


「あ。」
「そうせれば、自ずと答えは導かれるものだよ。」


その手の中には、傷ひとつ付かず、見事な形を保った……十二指腸がいた。
(いや、十二指腸に見事も何もないかもだけど)
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