奪い合い

邦華はそれを見て、目をキラキラさせた。

「すご…!どうして、触れないのに…」

驚いている邦華を見て、陽子は笑顔になった。

「これは…いわゆる、ポルタ-ガイストってやつよ。……やってみる?」

「はいっ!!!」

そうして、ポルタ-ガイストの特訓が始まった。

この日はそれだけではなく、空の飛び方、空中歩行、自分から幽体離脱をするやり方などを陽子は教えていった。

「よし……完璧ね!
もう、私がいなくても大丈夫!!」

「…え……?」

笑顔でそう話す陽子を見て、邦華は信じられない、という顔をした。

それに気づいたのか、陽子はこう続けた。

「…大丈夫だって!明日からは、一人で頑張って!!」

邦華は寂しいようで嬉しいような、複雑な気持ちにさせられた。

「じゃあね!」

陽子はそう言って窓の外へ消えていった。

___不吉な笑みを浮かべて……


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