春夜姫
しんとした朝でした。いつもより早く目の覚めた春夜姫は、窓の外に何かがいるのを見付けました。近寄ってみると、それは汚らしい鳥でした。寒さに震え、随分と弱っているようです。春夜姫は、その鳥を抱えて部屋に戻りました。
暖炉の火は暖かく、やがて鳥は目を覚ましました。春夜姫がパンとスープを差し出すと、おいしそうにそれを食べました。布で拭いてやると、じっとして動かずにいました。汚れが落ちたその鳥を見て、春夜姫はため息をつきました。良く晴れた夏の空のような、澄んだ青色をした鳥がそこにいました。
「ありがとう」
青い鳥は言いました。
「あなたが私を助けて下さったので、私の体は暖まり、おなかは満たされ、翼はきれいになりました」
春夜姫はにっこりと微笑みました。
「あなたに何かお礼がしたい、優しく美しいお方」
青い鳥は春夜姫に何かと話しかけましたが、春夜姫は表情と身振り手振りで返すしかできません。もしやと思い、青い鳥は聞きました。
「あなたが春夜姫なのですね」
春夜姫はゆっくりと頷きました。
「私はあなたのことを旅の途中で噂に聞きました。その小瓶をお貸し下さい。私が力になりましょう」