春夜姫
春夜姫は小瓶を青い鳥に見せました。青い鳥は蓋をつついたり、小瓶を高いところから落としたりしてみましたが、やはりだめです。春夜姫は肩を落としましたが、青い鳥ははっとひらめきました。
「ちょっと耳を手で塞いでいて下さい」
春夜姫が言われたようにすると、青い鳥は歌を歌い出しました。不思議なメロディで、それはそれは酷い歌声です。雑音、と言った方が良いかもしれません。そしてとても大きい声でした。しかし、そのうちに小瓶にひびが入りました。その亀裂はすぐに大きくなり、ぱりん、と音を立てて小瓶が割れたのです。
「あ」
春夜姫の口から、声が漏れました。
「魔法が解けたのね」
春夜姫は嬉しさのあまり、青い鳥を抱きしめ、そのくちばしに口づけをしました。するとどうでしょう。突然、青い鳥の中から光があふれ出しました。春夜姫はあまりのまぶしさに目を瞑りました。