春夜姫
 下の王子は北へ向かいました。彼は美しい夏の青空のような色の瞳を持っていましたので、私達は彼を、夏空の王子、と呼びましょう。

 兄王子たちと城を出て、そして別れて歩き出したものの、夏空には行く当てが思い付きませんでした。ただ、夏空は旅が好きでしたので、滅多に行かない北へ向かってみよう、と思ったのです。

 この国の北には、悪魔の住むお城や、魔女の住む森など、恐ろしい場所(全ての魔女が悪い魔女ではないのですが)がありました。それ故に、あまり行かないように言われていました。

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