ゆれる
「でもほんとに早く帰らなきゃ。プレゼント貰って、ケーキにろうそく立ててフーってやるんでしょ、フーって」
私はバン!!と両手を机に叩きつけて立ち上がりアイツを睨んだ。
「なんでそんなこと言うの」
「燈子ちゃんの怒った顔が見たかったから」
アイツの栗色の目の奥の奥の奥の奥のほうがドス黒く光る。
「これ以上からかわれるくらいなら帰るわ」
私がカバンを持つと、その手をアイツが掴んだ。
「・・・なに」
アイツはそのまま立ち上がり私を抱きしめた。
「ハッピーバースデー燈子ちゃん。15歳おめでとう」
母が私を産んだ15歳に、私はとうとうなってしまったのだ。