初雪の日の愛しい人[短編]
――初雪が降った日。

 それは思い出したくもない日になってしまった。
 ショックが大きかったあたしは、ミシェルを記憶のどこかに押し込めて、思い出すことはなくなっていった。

 …だけどミシェルは、そんなあたしにあいにきてくれた。

 単なる夢だったのかもしれない。

 でも、あたしにとっては違うんだ。

 …見かねてあいにきてくれたんだよね?
 あたしを慰めに、励ましに、きてくれたんだよね?

 あと何よりも、「忘れないで」と伝えにきてくれたんだよね――。

< 13 / 16 >

この作品をシェア

pagetop