現実アクションゲーム
「あ……」


外だ。慌てて振り返る蓮。二葉の方も、どうやら成功したようだ。


二つのトビラは、見事に外に繋がっている。


「やった……」


思わず歓喜の声が漏れる蓮。小屋を回って二葉の元へ駆け寄った。


「蓮君!やったね!」


右手を広げて差し出す二葉。


「お前のおかげだよ、二葉!」


蓮はそれをグッと握ると、笑顔で握手した。


「さて、直樹君を迎えに行かないと」


二葉が言う。蓮にとってあまり気が進まないが、見殺しにするわけにはいかない。


「そうだな」


蓮が答えた。確かに、考え方は極悪かもしれないが、何の罪もない人だ。


それに、今考えれば、この状況で自分が一番可愛いのは、当たり前のことかもしれない。


二人が小屋を振り返ったときだった。


全身に、これまでにない寒気がしたのは……


「え……」


思わず、蓮から声が漏れた。


「どうなってるの?」


二葉も呆然と声を漏らす。


小屋が無い……


「待てよ、さっきまであっただろ」


震えた声で蓮が言う。


まるで何もなかったかのように、そこには何も無かった。頭が混乱してくる蓮。二葉もそんな様子だった。


ただただ小屋のあったところを呆然と見つめる二人。


しばらくすると、蓮が口を開いた。
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