現実アクションゲーム
ボス戦
巨大なサメは体の全てを地面から出すと、大きな瞳をギョロリと蓮の方へ向けた。呆然とする蓮。


「あ……あ……」


さっきの怒りはどこへ行ったのだろうか。


再び、恐怖が全身を包む。


間違いない。コイツは、ボスだ。


こいつを倒さない限り、気球は手に入らない。


……今までと、難易度が違いすぎる。


正直今までは、なんとかできるレベルだった。


これは無理。


どう考えても、あんなにデカいサメを倒せるはずがない。


拓馬でさえ、無理に決まっている。


「うわぁああ!」


もはや、逃げるしかなかった。


だが、通ってきた通路は壁で埋まっていて戻れない。他に出口もなかった。ゲームの中だ。ボスの最中に『逃げる』などというコマンドなんてないだろう。


そんなことを考えているとき、サメの上にHPが浮かんできた。


『HP7000』


もう、戦う気なんてなかった。


蓮はHPたった100。数字だけで、違いすぎる。


それが何を意味するかなど、考えなくてもわかった。


……だが、倒す以外に道はない。


今回は、今通ってきた道のような運だけを頼りにするわけではない。


なんとか倒すことができれば、それはクリアに一歩近づくと言うことだ。


逃げることはできない。それなら、無理でも戦ってみるしかない。もしかしたら、デカいだけの木偶の坊な可能性もある。


見た目だけに騙されるな……まだまだ希望はある。


そう思うと、再び蓮に戦闘意識が戻った。


剣を抜き、グッと構える蓮。


敵は、幸いにもまだ向かって来ない。


今だ。攻撃される前に、倒す。
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