現実アクションゲーム
「次に、サメは斜め右上に一直線に走る」


その蓮の言葉の次の瞬間、サメは右上に一直線に走った。


……なるほど。そういえば、ゲームの中だったな。


確か、サメが登場したとき、サメは蓮と目があった。


多分見えている。見えているに決まっている。


それなのに、攻撃をしてこない。


そしてやっと来た攻撃は、蓮の右を空振りした。


そして、さっきも蓮の左を通過。なぜ、攻撃を当ててこないのか。


当てて来ないんじゃない。


そこにいたら、当たらないのだ。


……パターンだ。サメの動きは、パターン化されている。ある一定のパターンが、いくつかある。


気が気でないままなら、当然気づかなかっただろう。


まさに、冷静であるがゆえの賜物。


蓮はサメのパターンの軌道から、常にズレた。


たった一瞬でパターンを解読した自分に、再び鳥肌が立った。


「やった……これで……」


あとは、水が抜けるのを待つだけだ。そのときだった。


「やっぱりな」


突然、背後からの声。慌てて振り返ると、そこには拓馬の姿があった。


「拓馬?お前……何で、ここに」


「話は後だ、サメをやり過ごすぞ」
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