君へ贈る愛の歌



「残念ながら全て本当のことだ」

「・・・教えて」

「教えてよ!かっちゃんが今どこにいるのか・・・教えてよ・・・!!」



思わず本田先輩に攻寄るけれど、本田先輩はびくともしない。


知ってるんだよね?


かっちゃんがどこにいるのか・・・知ってるんだよね?


だから、かっちゃんから伝言を頼まれたんでしょう。



「教えるわけにゃいかねーな。男と男の約束だ。・・・俺を見ろ、俺を好きになれ。そーすりゃ悲しいことなんて何もねぇ。幸せにしてやる、俺が」



本田先輩につかみかかった両手はいとも簡単に先輩の手中に収められてしまって、


真剣は表情でそう言う先輩の目に引きずり込まれそう。



「俺はお前の目の前から消えたりしねぇ。泣かせもしねぇ。ずっと傍にいてやる。だから、俺をみろ。いや、俺しか見れないようにしてやる・・・覚悟しておけ」



先輩はそういってあたしの手を先輩の口元に寄せた。


逃さないとでも言っているような視線であたしの瞳を捕らえて、あたしの手にキスを落とした。


この人は・・・本気だ。


本気で言ってるんだ。


今までは冗談めかして、かっちゃんを怒らせて楽しんでいるんだと思っていたけれど・・・。


違う。


本田先輩は男なんだ。


それも、ズルイ男だ・・・。


かっちゃんがいなくなってしまってポッカリと開いた心の穴を、敏い目で見極めているんだ。







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