君へ贈る愛の歌




あたしにとって、かっちゃんを好きなことをは当たり前で。


かっちゃんの傍にいることが当たり前で。


これから先の未来を思い描けば、隣には絶対にかっちゃんがいるの。


それなのに、目の前のこの人は・・・


俺を見ろと言うの。


俺がずっと傍にいてやるっていうの。


ズルイよ・・・。


かっちゃんを探して探して恋しくて仕方ないと思う心と、もう疲れてしまった心。


そんな想いが交錯して、気持ちが揺らぐ。


目の前にいるこの人の手を取れば、笑っていられる?


悲しい気持ちにならないですむの?



「みゅう、俺を見ろ」



かっちゃんとは違う声で、


かっちゃんとは違う強さで、


かっちゃんと同じように、


あたしの名前を呼んだその人は・・・


あたしの頬にそっと手を伸ばした。


目と目があって実感する。


あたしの大好きな人とは全然違う人。


それなのに、とても優しい人。



「キス、するぞ」



唇を許してしまえば、きっと・・・もう・・・。


かっちゃんごめんなさい。


ごめんなさい。


ごめんなさい。


かっちゃん・・あたしは、弱いね・・・。





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