赤の世界
そう思うと
口は勝手に動いてしまった。
「シオリの髪がすきなんだ」
「え…」
言い切って
馬鹿にされるかと思ったのに
景はそのまま硬直した。
(そんなに変なコト言ったかな。)
「景…?俺おかしい…?」
不安になって、たまらず聞いた。
「…いや、おかしくないよ」
景の言葉がたどたどしい。
まるでアユミの声のように
拙い話し方をした。
「好み…なんだね」
そう言いながら俺の方を向き
より哀しそうな目をする。
その目を見て
頭の奥がズキンと痛む。
俺は不安にかられた。
「もうシオリとは会わない」
そう言ったのは
話題を変えたかったから。
視線から逃れたかったから。
不安に歪む顔を
めいいっぱい操作して
無理やりに笑顔を作った。