赤の世界
そろそろ帰らないと
ケーキが痛む。
そんな理由で俺と楓は店を出た。
「悠に、また会いたいな」
ぽつりと楓が言った。
「会えるよ。俺も会いたい」
そう返すと
楓の大きな目が笑った。
「もっと祝わなくていいの?」
大きな目を覗くと
自分の姿がはっきり映っている
まるで世界の全てを
反射してるみたいに
澄んだ目に
吸い込まれてしまいそうだ。
「いいの。でも…また今度会える時は、ゆっくり話しがしたいな」
「…わかった。ありがとう」
携帯の番号を交換して
じゃあねと手を振る。
手を振り返す楓の髪が
ふわりと風に揺れた。
吐き出した息が白くなっている。
もうすぐ夕方だ。