赤の世界
ずっとずっと前から。
どうしてだろう
君が愛しい人だと分かって
また焼け爛れるほど
この胸が焦げているのに
君の名前が思い出せない。
君との思い出が浮かばない。
きっと君と一緒に
あの場所で日の出を見たんだね。
どうして今は
俺の頭の中なんかにいるの?
こんな陳腐な頭の中は
きっと退屈でしょ?
こんなところにいないで
また日の出を見に行こうよ。
この前見た朝焼けは
とても綺麗に輝いていたよ。
手を伸ばそうとするけれど
この前のように
上手く手が届かなくて
俺の手は宙をもがく。
それでも彼女に触れたくて
何度も何度も手を伸ばすと
彼女がくすくすと笑った。
その笑い方も楓に似ている。
だけど今は分かる。
彼女は楓じゃないと。
君の名前を呼びたい。
(君の名前を。)
君の名前を呼びたい。
(どうして忘れてしまったんだ。)