赤の世界
―雪はすき?―
彼女の小さな唇が動いて
とても拙く綺麗な声がした。
俺を覗き込む目は
宝石のように輝いている。
(すきだよ。)
この世界にいつも降っていた
みぞれまじりの雪も
踊るように舞い注がれる
サラサラの粉雪も
儚くて寂しげだけど
とても綺麗に輝きながら
凍える寒さに喜びをくれる。
―私もすき―
彼女はそう言って
寂しそうに空を見上げた。
俺も一緒に空を見るけど
そこは見渡す限り晴天で。
雲ひとつなくて。
照りつける日差しが
キツいものになってきた。
不意に彼女が胸から離れ
視界が白く霞んでいく。
もう朝なんだ。
(いやだ。いかないで。)
すがる俺をぼんやりと
彼女が哀しそうに見つめた。
―次に雪が降るときは―
―きっとあなたの傍にいるよ―
拙い声を最後に聞いて…
そこで夢は終わってしまった。