Blood†Tear
どんよりとした雲の下、薄暗い山道を歩くのはコウガ達4人。
ジークを先頭にコウガとレオン、少し離れてクレアと続く。
「本当にこの道で合ってるんだよな?」
「大丈夫ですよ~今度こそは」
苛立ちを露わにするレオン。
と言うのも、シェノーラの元へと案内すると先頭に立つジークなのだが、先程から迷ってばかり。
すれ違った旅人に道を聞き、やっと見覚えのある道へと出たようだが心配である。
「申し訳ありません。何せ、あまり外に出ないもので」
「気にしてないよ。それより、シェノーラと長い事離れてたけど、大丈夫なのか?」
歩くスピードを落とし、コウガと並んだジークはぼそりと呟く。
そんな彼に主である彼女と離れている期間が長い事に心配してみるが、彼は大丈夫だと笑って見せた。
「心配いりませんよ。リリアも居ますし、お嬢様なら大丈夫です」
彼女達を信頼している様子のジーク。
長い時の中で築きあげた深い絆があるようだ。
「シェノーラとは長い付き合いなんだ」
「そうですね。かれこれ20年程お世話になっているのでしょうか」
少し背の高い彼を見上げながら問うと、彼は歩幅を合わせながら考えるように言う。
やはり彼女とは長い付き合いのようだ。
「彼女が産まれた時から世話を?」
「否、私がお嬢様と出会ったのは、彼女が10歳の頃でした」
「10歳?」
20年と言う事は、彼女が産まれる前からラグナー家の執事だったと言う事。
しかし彼は赤ん坊の頃の彼女は知らないと言う。
どういう事なのかと疑問に思っていると、彼は微笑みながらコウガに問う。
「お聞きしますが、貴方はお嬢様をお幾つだと思われますか?」
「20歳手前位だと…」
唐突な質問にコウガは正直に答えるが、彼の真っ直ぐな答えにジークは笑い出してしまった。