Blood†Tear
何の抵抗も見せない彼女はベッドの柱に身をぶつけ、その拍子で打ち付けた額には血が滲む…
「次に約束を破った時、お前の大切なものを奪う。お前の一番失いたくないものを…」
怪我を負い動かない彼女にそう言うと、彼女は大きく目を見開き彼を見上げた…
だが、彼女は何も言葉にしない…
「二度と私に逆らうな。この無能な魔女が」
揺れる瞳を目にし、拳を握りながらそう言うと、乱暴に扉を閉め部屋を去って行った…
1人残った彼女は顔を伏せ、床についた掌は拳を握る…
その震える拳にポタリと雫が零れ、彼女は唇を噛むと必死に声を出さぬように耐えていた…
彼女の背にある窓の外を羽ばたく1羽の鳥…
あの鳥のように、彼女は自由ではない…
この屋敷という大きな籠の中に閉じ込められた、孤独な小鳥…
外の世界に憧れた、哀れな小鳥…