Blood†Tear
すでに味覚や幾つかの臓器を失っていると言う。
しかし彼女はそんな様子を一切見せる事はなかった。
只柔らかく微笑んで、平然を装っていた。
どんなに苦しくても、悲しくても、辛くても、決して表へは出そうとしない。
誰にも心配をかけまいと、負の感情を押し殺し、1人で抱え込んでいる。
「18歳の頃、神は彼女の成長を止めました。彼女の成長を力の代償としたのです。
いくら年を重ねても、身体は18歳のまま……二度と成長した姿を目にする事はできないのです……」
治癒の力を使った事による代償…
10年の時を経ても、彼女の身体は成長する事はない。
10年前の時の中に只1人取り残されていく。
「お嬢様が力を使ってしまうのは、私のせいなのです……私がお嬢様から全てを奪っている……だから、私はーー」
ぼそりと呟くジークはハッとし言葉を止めた。
口が滑ってしまったのか、恐る恐るコウガを見下ろすが、コウガは前方を見つめたまま。
聞こえていなかったのか、何事もなかったように先を急ぐ。
本当に聞こえていないのか、それとも聞こえていて知らぬふりをしているのか…
「あ、見えてきた。目指してるのはあそこであってる?」
疑問に思いながらコウガを見つめていると、彼は前方を指差しながらそう言った。
ジークを見上げて問う純粋な瞳の彼と目が合い動揺しながら、彼の指差す方へと目をやった。
「そうです。皆さ~ん、後少しですので頑張って下さーい」
この先に広がる景色を目にし嬉しそうに微笑むと、後ろを歩くレオンとクレアを振り返る。
手を振りながら元気に言うと、足早に先頭を歩きだした。
1人先を急ぐジークはどこか鋭い瞳をし先を見つめていた。