Blood†Tear
「だからどうして此処まで来て迷うんだよ!」
「まぁまぁ、そんなに責めないで下さいよ」
怒鳴り声をあげたのは先程から苛立っている様子のレオン。
そんな彼を制するジークはニコニコと微笑み、謝る気はあるのか疑ってしまう程である。
目的の地が目の前に広がっていたというのに、山道を降る途中で何故か道を間違えてしまったジーク。
怒鳴られるのも仕方ない。
「もう目の前に見えていますし、少し寄り道して準備もできたんですし、ね?」
遠回りした事に何の悪気のない様子のジーク。
そんな彼に呆れ果て溜め息を吐くレオンだった。
「処で、何故ローブを?」
地図を広げ先頭を歩くコウガは後方のレオンとクレアに問いかける。
2人は目的の場所がスウィール国と聞き、先程寄り道した街でローブを購入していたのだ。
自分も彼等と同じように購入しておけば良かったのではと問うが、お前は必要ないだろうとレオンは言う。
「お前はいいんだよ。見た目じゃわからないし、武器さえ出さなけりゃ大丈夫だ」
ローブを羽織るレオンはそう言い、既にフードを目深に被るクレアは同意だと頷く。
「どういう意味だよ?」
「どういう意味って、俺達は外見でわかるだろ?普通の人間とは違うって事が。
だが、お前は違う。見た目は一般人と何ら変わりはない。だから、お前は俺達みたいに身を隠さなくていいんだよ」
鋭い黄の瞳に乱れた灰色の髪。
口元から覗く八重歯は狼の血を引く者の証であり、野生の中で生きてきた彼からは普通とは違う何かを感じる。
そしてクレアは一目見ただけで他と違うと確信できる程の外見。
血の気のない真っ白な肌に栄える赤い瞳。長い銀色の髪は人を喰らう者特有の色。
それに比べコウガはどこにでもいそうな一般的な外見。
只他人と違う点と言えば、一般の人にはない力を持っていると言う事だけだ。