魅惑のヴァンパイア
悲鳴を上げることすらできない。


今にも気絶しそうなほど、頭がクラクラした。


熊が言葉喋ってる! 


しかも二足歩行で! 


ご丁寧にスーツまで着て!


私は恐怖で震えながら、フルフルと頭を横に振った。


嫌だ、という意味だ。


言葉は怖くて凍結してしまったようだ。


すると、スーツを着た熊男は、ギロリと私を睨みつけた。


野生の熊の瞳だ。


殺されると思った。


仕方なく牢屋を出ると、ムワっとした生温かい湿気が身体にまとわりついた。


泣きたいくらい不安な気持ちで、抵抗する気力も湧かないくらい、頭が真っ白だった。


熊男は、私が逃げ出さないように、毛むくじゃらの手で腕を掴んだ。
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