魅惑のヴァンパイア
どうするか考えあぐねていたその時だった。


「これは、これはヴラド伯爵」


中から陽気な声が聞こえてきた。


 浅黒い顔立ちに、後ろになでつけた褐色の髪。


沢山の紋章が胸に飾られていた。


「テイル大臣……」


 陽気な声の主は、豊かな眉を下げて、うやうやしく頭を下げた。


「きっと来ると思っていましたよ。さあどうぞ中へ。わたくしが案内致しましょう」


 テイル大臣が衛兵を宥めると、槍のクロスは解かれ中に入ることができた。


「おっと、中に入れるのはヴラド伯爵だけですよ」


 テイル大臣は、家臣が中に入ろうとするのを諌めた。


家臣は心配そうな顔でヴラドを見つめると、ヴラドは心配いらないから安心しろ、といった顔で、小さく頷いた。
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