魅惑のヴァンパイア
「ヴラド様、こちら特別なお酒でございます」


 薄い衣を羽織っただけの妖艶な女性が、ヴラドの杯に真っ赤な液体を注いだ。


ツンとする甘い匂い。


嗅ぐだけで、脳が快楽に溶けてしまいそうだった。


「これは……人間の血ではないのか?」


 美しい女性は、意味ありげに微笑んだ。


下を見ると、大臣や長老のような偉い身分の者達にだけ、『特別な酒』が振舞われ、真っ赤な液体を咽に通し、享楽的な笑みを携えていた。


「人間の血は禁止されているはずだが?」


「これは選ばれた者のみが飲める特別なお酒。汚らわしい人間の血ではありませんわ」
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