魅惑のヴァンパイア
少しおぼつかない足取りで、寝屋へと向かった。


重厚感のある扉を開け、燭台に明かりを灯した。紗の帳からボウっと見える黒い人影。


先代の王が暗殺され、警備が厳しくなったのにも関わらず、王の寝所に侵入できる人物はただ一人。


「寝所に侵入するとは、相変わらず趣味が悪いな……ラシード」


 ヴラドは手をかざさずに、寝室内にある全ての燭台の蝋燭に火を灯した。


ラシードと呼ばれた侵入者は、部屋中に灯された明かりで、隠れているわけにも行かず、帳から顔を出した。


 金色に輝く滑らかな艶髪。


端整な顔立ちに、悪戯っぽく笑った口元からは、白い牙が顔を出していた。


人間でいえば、十八~二〇歳くらいに見える青年は、幼さ残るその顔に比べ、瞳が理知的で野心に輝いていた。
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