魅惑のヴァンパイア
固く閉ざされた唇が、一瞬綻んだ気がした。
……笑った?
今、笑ったの?
目の錯覚かと思うくらい、一瞬の出来事。
私は、この一瞬で恋に落ちてしまったんだ。
相手がどんな人物かも分からないのに。
この……一瞬で……。
私はまだ、これから先に起きる出来事なんて、何にも分かっていなかった。
好きになってはいけない人だったなんて……。
そんなこと、知らなかった。
知っていたって、止めることはできなかった。
恋の始め方だって分からなかったのに、恋する気持ちを止めることなんて、私には難しすぎた。