魅惑のヴァンパイア
「子猫ちゃん! バド! いるか!?」


玄関を叩き付け、ピーターは叫んだ。


「ピーター様、どうしたのですか? そんなに慌てて」


 玄関の鍵が開く音がしたので、待ちきれずにピーターがドアを開けた。


「早く……早く出掛ける準備をするんだ!」


「お出掛け?」


 シャオンがきょとんとした表情で、パタパタと廊下を駆けて来た。


「子猫ちゃん……。いいから早く出掛ける準備を! 外は寒いからありったけの防寒をして……」


「どこに行くんですか?」


「説明している暇はないんだ! 早く!」


 ピーターの剣幕に押されたのか、シャオンはわけが分からないという顔をしながら、コートを取りに寝室に戻っていった。


「何が、起こったのですか?」


 シャオンがいなくなったのを見届けてから、バドは訝った表情をしながら聞いた。


「ヴラドが偽者だってことが、バレたんだ」


 バドの表情が一瞬固まった。
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