魅惑のヴァンパイア
真顔で笑い出したピーター。


終わりの見えない数の多さに、抗う気持ちも萎えてしまったように見えた。


 甲高い笑い声が丘に木霊した。


 声のする方に振り向くと、王妃とその息子の三人の王子が馬に乗ってやって来ていた。


 もちろんその後ろにも、海のように広がる軍隊を従えていた。


「これは、これは、王妃様。今日も一段とお綺麗ですね」


 ピーターが会釈すると、夜の海のように広がる黒い軍隊の中で、真っ白い馬に乗った王妃の口元が嘲るように動いた。


「裏切り者のピーター。そなたはもっと賢い男だと思っていたのに、残念だ」


 冷たい空気の中で、更に氷のように響く声音だった。


「裏切り者とは聞き捨てなりませんな。私は最初からあなたの味方ではありませんでしたよ?」


「ふん、相変わらず小癪な奴だ。そこが気に入っていた所でもあるのだが」


「私も一度でもいいからあなたの数多いる浮気相手の一人になりたかった。
そうすれば、後ろにいる王子のように、私の子供でも王の子供として君臨できたかもしれないのに」
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