魅惑のヴァンパイア
甲高い笑い声が、高台の丘にこだますると、それが合図のように10人近い黒騎士団が宙を飛び、屋敷を囲むように配置した。


 するとメラメラと炎が下から沸き立ち、屋敷を包んでいった。


 小さな火はやがて大きな火となり、あっという間に屋敷は火の海になっていく。


「家が……家が……」


 燃え盛る炎に、シャオンは力が抜けたようにペタリと地面に座り込んでしまった。


 バドとシャオンは、様々な思い出が詰まった屋敷が燃えていくのを、何もできずに見つめていた。


 橙色の炎が無慈悲に光輝いていた――
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