魅惑のヴァンパイア
 それからしばらく歩くと、木々に囲まれた灰色の塔が見えてきた。


 大きな煙突のような形をした塔。


「ここが秘密結社のアジトか」


 ピーターは感慨深げに言った。


「ええ。ここに来たからには嫌でも私達の仲間になってもらいますよ」


ラシードが意地悪っぽく微笑むと、


「夜会のパーティーに出て、女の子達と遊べるならどんな輩とも仲間になるさ」
 

ピーターは物怖じせず、楽しそうに前へ進んでいった


 中に入ると、男達が大きな鍋をぐつぐつと煮込んでいた。


 まるで酒蔵のようだった。


「これは?」


「他人に化ける時に使う薬を作っているんです。人間界の薬と違う点は、魔力を注入しながら作ることですね。他にもまぁ……色々と……」


はっきり言って、よく分からなかった。


これ以上詳しく聞いても理解できる自信がなかった。


 男達は、ラシードを見ると、手を休めてお辞儀をした。


 その様子からラシードが、この中で一番偉い立場にいることが見てとれた。
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