魅惑のヴァンパイア
 ここまで来ると、悪霊や怨霊などに出くわすことはほとんどなかった。


光が近いので、彼らにとって住みづらいのだろう。


 顔を上げると、私を愛おしむような柔らかな眼差しとぶつかった。


胸がトクンと跳ねる。


もうすぐまた、離れなければいけないと思うと、心が寒くなる。


でも、この別れは、再会のための別れだ。


だから、寂しくなんかない。


寂しくなんかない。


何度も自分に言い聞かす。


「どうした? シャオン」


 心配そうな顔をして、ヴラドが私の顔を覗き込む。


瞳を上げようとした、その時だった。


背筋にゾクリとするような嫌な気配を感じた。


今までよりも強烈な、激しい怨恨の視線だった。


ヴラドもその視線に気付いて、私の肩を掴み、ヴラドの胸に引き寄せた。
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