魅惑のヴァンパイア
「……そうです。
王妃とその愛人による王暗殺です。

それにより、ヴラド様はあの洋館で身分を隠し、生活しなければならなくなったのです。
そして……私の母も、王が死んだというショックから病気がちになり死んでしまいました。
母は死ぬ間際まで、ヴラド様を王にすることが私達の使命だと言っていました。

ですから私の存在意義はヴラド様を王にすること! 
私はその為に生まれてきたのですから!」


 皆が二人の王子を静かに見つめていた。


 兄弟だと言われて初めて、雰囲気や風貌が似ていたことに気が付いた。


 どうして今まで気付かなかったのだろうと不思議に思うくらい二人はソックリだった。


「その話には間違いがある」


ヴラドが静かに口を開いた。


「父は、お前の母を愛していた」


「いいえ! そんなはずがありません! 王が愛したのは人間の女性、ただ一人です!」


「もちろん、俺の母のことを愛していたと思う。しかも心から。
でないとヴァンパイアと人間との間に子供はできないからな。

けれど、お前の母のことも愛していたんだ。

そしてラシード、お前のことも……」


 ラシードは息を飲んで、実の兄の瞳をじっと見つめた。


 そこに真実があるか探るように……。
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