魅惑のヴァンパイア
「王を……、まぁ私の父親でもあるわけですが。
王を、非難してはいけません。この計画を王に提案したのは、私の母親なのです。
身分が低かった私の母は、そうまでしても王に自分を見て欲しかったと言っていました。
愛されていないと分かっていても、愛する男の子供が欲しかったのだと……」


 今度は誰も口を開く者はいなかった。


 皆が、胸をぎゅっと締め付けられるような、切ない悲しい思いを感じていた。


「そして母は私を産んだ。
それに怒ったのは、もちろんあの王妃です。
王妃なのに、王に一度も相手にされず、身分の低いヴァンパイアが王の子供を産んだのですから。

王妃は母を殺害しようと企てた。

しかしそれも計算のうちです。
王妃が用意した毒酒を飲んで死んだとみせかけて、母と私は逃亡しました。
あとに残るのは幼いヴラド様のみ。
ヴラド様は王が大切に守り、次期王として相応しく立派に育てる予定でした。

あんな出来事が起こらなければ……」


 ヴラドはじっとラシードを見つめていた。


 ラシードも、瞳をそらさずに兄を見つめた。
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