魅惑のヴァンパイア
「これに合う靴とアクセサリー、それにメイクセットも頼むぞ」


「はい、もちろんでございます」


「ヴ、ヴラドっ!」


「何だ?」


「大丈夫なの?」


これ凄く高そうだよ。


私の為に、そんな……。


ヴラドは私が何を心配してるのか分かってくれたらしく、優しく微笑んだ。


「大丈夫だ、お前は何も心配しなくていい。俺に任せて、美しくなっていけば、それでいい」


美しくなっていけばって……!


私、全然可愛くないのに。


期待になんて、こたえられるはずないよ……。


私の不安をよそに、あれよあれよという間に、化粧台の前に座らされ、一人は髪の毛、一人は化粧、一人はネイルと、三人がかりで取り組まれた。


私はされるがまま、ただ鏡の前に座って、どんどん変身していく自分自身を不思議な気持ちで眺めていた。
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