魅惑のヴァンパイア
ヴラドが歩くと、皆が道を開けてくれる。


ヴラドは、私を庇うように、ぴったりと寄り添って歩いた。


羽毛のついた扇子を口元にあて、ヒソヒソと会話する女ヴァンパイア達。


誰もが綺麗で、圧倒されてしまう。


私なんかが着飾った所で、たかがが知れている。


だって私は、冴えない女子高生。


余りに場違いすぎて、身が竦んだ。


「人間よ」


「人間だわ」


「どうしてヴラド様が人間なんかと」


ヒソヒソと話す声が聞こえて、益々肩身が狭くなる。


どうして私が人間だって分かるんだろう。


ぎゅっと唇を閉じているのに。


好奇な目と、明らかな敵対心の目で見られ、今にも溶けてなくなってしまいそうなくらい恐かった。
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