魅惑のヴァンパイア
ヴラドに腕を引っ張られ、恐る恐る中に入ると、現実とは思えない不思議な光景が目の前に広がっていた。


奥が見渡せないくらいの大きなダンスフロア。


吹き抜けの天井には、とても大きなシャンデリアが飾ってあり、体の一部が楽器になっている演奏家達が楽しげな音楽を奏でていた。


床はガラスのように黒光りしていて、壁の柱一本一本に蝋燭が灯っていた。


真ん中では、めいめい音楽に合わせてダンスを踊る人々。


そしてそれを取り囲むように、豪華な食事とシャンパングラスを持って談話していた。


水牛の角のような触覚が頭に生えている者や、白い髭が体中を覆っている者、頭が二つに分かれている者など、見るからに人ではない生き物もいた。


そして、そんな魔物達と並んでも、引けを取らない程煌びやかに着飾ったヴァンパイア達。


様々な形の仮面が、不気味さと豪華さを演出していた。
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