魅惑のヴァンパイア
――帰りたいよぉ……。


ヴラドの裾をぎゅっと掴んで、大きなダンスフロアを歩いた。


一番奥に行くと、舞台のように一段高くなっていて、そこに椅子とテーブルが数脚並んでいた。


ヴラドは迷うことなく真ん中の椅子に腰を降ろすと、私にも隣に座るよう促した。


椅子に座っても、オドオドしてリラックスできない私を見て、脇に立っていた給仕人に目配せをした。


すると、すぐにピンク色の液体が入ったグラスと、一口サイズの食べ物が運ばれてきた。


渡されたグラスをしげしげと見つめた。


なんだろ、これは。
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